邂逅輪廻



 星丘高校。町の中心にある、この町唯一の高校である。
 その校門の前に男が一人。見た目は坊主である。
「ここにいるのか」
 男は呟く。
「にしても、来る時の巨人は一体何なんだ?」
 男は呟く。
「…もう少し待ってみるか」
 男は呟き、校門を通り、敷地内に入っていく。


 森にいってから、幾つか経ったこの日。俺は真剣に勉強をしている。
 何故って?そりゃあ、テストで赤点を取らないようにするためさ。今まで補習は受けたことはないから、最近成績が下がってきていると、先生に愚痴られ、いつもより38%ぐらい頑張っている。
「ふう」
 そんな中、休んでいられる休み時間だ。
「京ポン、だぁれか来てんっさ。坊主が」
「?」
 糸目ののんびりした感じのクラスメイト、が声をかけてきた。
 こんな時に呼び出し?やましい事なんてしてないが。…坊主?
「ねえ、」
「んは?」
「その坊主は、何か言ってた?」
 少し気になった事を聞いてみた。余談だが、京ポンは仲のいい友が使っているあだ名だ。
「うん。『多町京と言う奴を呼んできてくれ』って言われたっさ」
「ああ…」
 間違いない、あの人だ。布都が声真似が得意でよかった。性別違うのに、殆ど同じ声に聞えたし。
「ありがと」
「んふ♪」
 お礼を言うと、ニッコリと笑い、素直に喜んでいた。さて、
 席を立ち、教室のドアを開けると、そこには、鋭い目つき、少し不機嫌そうな口元、ド○ゴンボ○ルに出たような服を着た、見事な坊主が立っていた。
「どうしたんですか?陳念さん」
「うむ、突然なのだが、一緒に来てもらおう」
「へ?」
 いきなりなんだ?来てもらうって事は、森に行くのか?
「ちょちょちょっと、なんでいきなり――」
「担任とやらにはちゃんと許可は取ってあった。」
「なら、先に連れて行く理由だけでも教えてください!」
「今言っても時間の無駄だ、ほら」
 呆然としていると、ガッと襟首を捕まれた。普通腕じゃないんですか?
「ちょ――」
「何をしているのですか?」
 反論をしようとした所に、先生登場。何処の先生に許可を取ったんですか!?
「こいつを連れて行くだけだが?」
「勝手に生徒を連れて行ってはいけませんよ!」
「なに、殺しはしない。生きて返す」
 何故、死ぬような場所に連れて行くようなことを、さも当然のように言うのですか?陳念さん?
「それでも駄目です!その手を――」
「烈光拳」
「ごへばぁ!」
 突然手を放すと、先生のほうへ走り、百烈拳みたいなのを食らわせてからアッパーを食らわす、陳念さん。殴る時残像が見えましたよ?
 抵抗すら見せず殴られ、そしてそのまま、きりもみ回転しながら開いている窓から落ちていく先生。南無…
「最後のあわせて13連打だね」
 教室のほうからそんな声が聞えた。
「さて、いくぞ」
「へ?、え?、って、あああああああぁぁ!」
 また襟首を捕まれ先ほど先生が落ちていった窓から飛び降りた。
 生きて帰って来れるのだろうか……

 ここから森までたどり着くまでの事は割愛させてもらう。


「連れて来たぞ」
「おや、それはありがたいですね。今から行こうと思ってましたから」
「……」
 早い。なに、あの速さは。
 自動車と対等に走ってたよ?途中、ナンパ野郎とか川に落としてたりしてたけど、結果、風になっていた。
 ここに来るまで、殆ど速度を落とさなかったから、息が出来ず、森にたどり着く前に、窒息死してしまうとこだった。
「早速ですが、ここにつれてきたのは、彼が会いたいって言うものですから」
「?」
 ニコニコと笑いながら俺の後ろを指差す。誰だ?
「…うっす」
「?う、うっす」
 そこにいたのは、紺のシャツの上に茶色の革ジャンを着ており、下はポケットが多いカーゴパンツを履き、左足の大腿部にはホルスターみたいなものが取り付けられている。
 簡単に見てしまうと、動きやすさを重視した服装である。
 顔は、糸目の無表情な感じ。髪型は…なんなんだろう。後髪と横髪を肩で切り揃えて、前をのばした感じ。よく分からん
 この人がなんなんだろう。
「彼がアーク。その手の世界では『』って呼ばれてるらしいよ」
「へ、へぇー」
 軽く笑えない。
「所で、この子は?」
「はい、この子はこの近くにある街の高校生です。名前は多町 京。多分というより絶対に多町 柊の息子です」
 え?なんで親父の名前しってんの?
「ふむ、そうか。改めて言う。俺はアーク。晴夜が言うとおり、俺は幽霊を斬ることが出来る」
「へ?」
 幽霊を斬る?んな馬鹿な。
「小僧、人を嘲笑うな。死にたいのか?」
「いえそんな滅相もない」
「…あいつは、切り裂きと言う名が付いたちゃんとした理由がある」
「どんな?」
「本人から聞け」
 そんなこと言われたって、アークさん今、晴夜さんとお話中ですし。
 所で、何を話しているのですか?
 陳念さんが何かを小さく呟くと同時に、アークさんが、片目を見開きながらこちらを向いた。
「!!!」
 その目に睨まれると同時に体が動かなくなってしまった。いや、動けなくなってしまった。
 睨まれること数秒ぐらい経つと、晴夜さんが、
「アーク、睨むのはやめなさい」
「ん?ああ、すまん。いつもの癖でな」
「いい加減直したほうが宜しいのでは?すみませんね」
 謝られた。これでいいのだろうか。
「はあ」
「で、何を聞こうとしてたんだ?」
 あ、そうだった。
「アークさんは、なぜ、『切り裂きアーク』って呼ばれるんですか?」
 その質問にアークは、
「そりゃあ、奴らを切り裂くのが気持ちよくてたまらないからだ」
「……」
 普通に引きますよ。
「簡単すぎですよ。彼には分かりません」
「ん?そうか」
 今のが簡単に説明したもの?
「ああ」
「そうですか、って勝手にモノローグを読まないで下さい!」
「はっはっは。で、詳しく説明するが」
「はい」
 少し笑っていたら途端に真剣な顔をして語り始めた。
「俺は、生まれつき幽霊が見える力を持っている。だが、他の見える奴とは違い、俺は触る事が出来たんだ」
「…」
「昔は、その事を話しても誰も相手にしなかったが、ある日突然、知らない野郎どもが押し寄せてきて、○○○を駆除してくれと、頼み込んできやがったよ。流石にその時は悪霊なんて言うものを知らなかったから、わけもわからず悪霊を殺ったのだが…今思いなおすと、アレが最初なんだろうな。悪霊を殺す快楽に目覚めたのは」
「……」
 随分と重い話をおっしゃる。
「とりあえず、今はそんなことはないから安心してくれ」
「そうですか…」
「っと、話はここまでだ。…随分と長い時間居ちまったな。晴夜、例の件をよろしく頼む」
「ええ、分かりました」
 なんだろう、例の件って。
「小僧、とりあえずお前を学校に戻す」
「へ?」
「時間的にお前も辛かろう」
 ふと、携帯電話を見てみると、もう、五時限目が始まっている時間だ。今から行っても戻る頃には放課後だろう。
「大丈夫だ。わしが連れてってやる」
「へ?ちょっ」
 また、あの恐怖が蘇るのか?それだけは!
 断ろうと、声をかけようとしたが、時既に遅し。しっかりと襟首を捕まれていた。
「声を出すな。窒息するぞ」
 そんな声と同時に、俺は風になった。
 余談だが、六時限目が始まる前にはしっかりと着いた。今夜は、空を飛ばされる夢でも見そうだ。

               ◇

「アーク、彼を殺してはなりませんよ。殺ってしまったら、他の人が黙っていないと思いますよ」
「どういうやつがだ?」
「布都御魂が彼の学校にいます。変に刺激をすると、ここに乗り込んできます。ですから…」
「……また布都か…」
「ええ。今度のは繋がりです」
「あれは、どこかの宝物館に収められたのではなかったんじゃないのか」
「それは分かりません。ですが、蛇が何らかの関係があるのではないでしょうか」
「分かった。そちらは任せておくが、大丈夫か?レインがこっちに向かっているという情報を得たが」
「う…それは失念していました。何とか逃げ切ります」
「…よし。早く行かないと、間に合わないな」
「いってらっしゃい。でも、普通の霊は斬ってはいけませんよ」
「俺は、普通の霊を斬っても不愉快になるだけだ。知ってるだろ?」
「分かりました。何も言いません」
「そうか…」


何故かあとがき
さて、自分の煩悩のままに書いたこの作品。いかがでしょう。
本能のままに書いていますので、作品にまとまりがありません。(正直読めるかどうか)
さらに、お話を進めるために必要なネタが無くなってきました。(普通は言うもんじゃないんですけどね)
次回は決まってますけど。
懐かしい遊びを学校でやってしまいます。後、血族が多めに出ます。(個性的な奴が多)
では、




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