「香良洲先輩、何を見てるんですか?」 「え? あぁ、莞人氏と飛月氏ですか。これはですね……捜査を纏めた手帳です」 「捜査を纏めた? ……って、うわぁ! 凄い、文字がびっしり書かれてるよ〜」 「えぇ。あの時はとても苦労しましたから……」 「苦労、ですか?」 「その通りです。あれは本当に大変な事件でした……」
――月夜に飛ぶ烏を見た人は三日後に死ぬんだって―― それは、私が大学に入学して間もなく耳にした話。 なんでも、月夜に舞う烏は死神の使いで、その姿を見た者は死神に魅入られて、三日後に命を狩られるらしい。 そう、これは只のどこにでもありふれているような怪談と都市伝説が混じったような噂話。 私もそう思って一蹴していた。 あの時までは……。 「殺された? ……この大学の学生が?」 「そうなの! しかも、しかもだよ、実はその死体の周りには烏の羽が散乱してたんだって!」 「……烏の羽」 「そう! もう、これってば、『月夜の烏』の呪いに間違いないって!」 烏の羽が散乱した死体……それは、『月夜の烏』の呪いを受けて死亡したという印だという。 だけど、私は信じたくなかった。 烏が人を呪い殺すなんて事を。 ――“香良洲”結華として認めたくなかったのだ。 だから私は、真実が知りたくなった。 都市伝説になぞらえられたこの事件の真相が――! 「――で、俺に協力をしてくれって?」 「えぇ、あなたの協力が是非とも必要なんです」 「ダメだと言ったら?」 「そんなことは言わせません」 「は、ははは……。相変わらず無茶苦茶やるよな、君も」 「お褒めに預かり光栄です」 「いや、褒めたつもりは無いんだけどね」 強力な助っ人を仲間に引き入れた私は独自に調査を開始する。 そして、そこで出会ったのは、奇妙な刑事のコンビ。 「私は……なんとしても、この事件を解決せねばならないのだ! 行くぞ、由良君!」 「先輩! 車はこっちですよぉ〜!」 「…………」 「…………」 彼らの協力を得つつ、調査を進めてゆく私達。 しかし、調査は思った以上に難航し、そうこうしているうちに次々と事件は起こってしまう。 「……また、周囲に烏の羽を散らされた死体が見つかったそうです」 「これで、四人目か……」 相次ぐ事件。 残される烏の羽。 交錯する思い。 何かを隠す関係者達。 そして、それらを一つにする『月夜の烏』の真相。 「――なるほど。そういうことだったんですか」 見えてきた真実。 そして、そこに隠された驚愕の事実。 その最後に待っている結末とは――!? ――――香良洲結華の事件簿 〜彼女は夜に羽ばたく夢を見る〜 公開未定?―――― 「……というお話だったのさ――――という結末にはなりませんからね」 「作者がちゃんと本編も書いてくれればですけどね」 「本当に大丈夫なのかな……?」 ※この話は予告編です。本編開始の際は、多少の変更がある可能性がありますのでご了承下さい。 また、本編開始の時期は未定です。くれぐれもご了承下さい。 |